エースの条件

おはようございます。ヤクルトけんちゃんです。

6月13日のソフトバンクとの一戦に先発したライアン小川投手に対し「本当にエース?」と苦言を呈したわけですが、それでは「本当のエース」とはどのような投手か今日は少し考えてみましょう。
昭和のプロ野球ではエースとは「最低15勝、できれば20勝」なんて時代で、エースは先発すれば完投するのが当たり前、それ以外にもリリーフでも八面六臂という国鉄スワローズ(今のヤクルト)の大エース金田正一投手が典型でした。
金田投手は通算400勝なんて未来永劫破られない大記録を打ち立て、どの年をとっても素晴らしい成績を上げていたわけですが、例えば1958年は56登板、31先発で332.1回を投げ22完投、11完封、31勝14敗防御率1.30だったわけです。
ということは25試合リリーフもしているわけで、セーブもホールドもなかった時代ですが、あればどんな感じだったんでしょうか。
エースの条件といえば「沢村賞」の選考基準がある意味最も適しているかと思われます。その条件とは、
⓵ 25登板以上
⓶ 10完投以上
⓷ 15勝以上
⓸ 勝率6割以上
⓹ 200イニング以上投球
⓺ 150奪三振以上
⓻ 防御率2.50以下
なにせ金田投手以前の時代に始まった賞ですから今の時代にそぐわないこと甚だしいところがあります。
一番最近の沢村賞受賞は2022年オリックスの山本由伸投手ですが、その成績は26登板、4完投、15勝、勝率.750。193イニング、205奪三振、防御率1.68でした。ということで上記基準中、⓵と⓷はぎりぎりクリア、⓶は大幅に足りず、⓹がぎりぎり足りず、という感じで、近年の投手状況では完投の条件はまず無理で、勝ち星と投球イニングもなかなかハードルの高いものとなっています。

ということで沢村賞や金田投手を引き合いに出しては今の選手たちはたまりませんので、「令和のエース像」を検証します。
これだけ投手の分業制が進んだ現在ですがエースと呼ばれるにはまず最低「規定投球回数」をクリアすべきです。
規定投球回数は1イニング×試合数ですから今年で言えば143イニングを年間で投げる必要があります。
昨シーズンではヤクルトではクリアしたのは小川一人です。セリーグでは他には阪神の青柳・西勇、巨人の戸郷・菅野、中日の大野・小笠原・柳、DeNA今永、広島の森下以上10投手が規定投球回数をクリアしています。
これだけでも十分に各チームの昨年のエース級が出揃った感じです。
上記の内15勝投手はおらず、二けた勝利投手は青柳13勝、戸郷12勝、今永11勝、小笠原・森下10勝です。
この勝利数の基準は今のようにほとんど完投が無く、したがって勝ち星が中継ぎに付くケースも多く(昨年のヤクルトの勝ち頭の一人は中継ぎの木沢投手の9勝でした)また当然いくら投手が頑張っても打力が弱いとか最下位のチームのエースでは当然勝ち星に恵まれないわけです。しかも先発投手の勝ち星は5回以上投げることがマストですが中継ぎには打者1人を打ち取っただけで勝ち投手になるラッキーケースもあるわけです。

また25登板以上という縛りも143試合で6試合に1回(週に位階先発)しか投げないと25登板には足りません。
25先発で平均8回投げてやっと200イニングクリアですからこれも今の時代にそぐいません。
そこで私が提唱する「エースの条件」とはQS(クオリティスタート)シーズン15以上です。
クオリティスタートは先発投手が6回以上投げ自責点3以下で納めた時にQSが付くわけです。
このルールのおかしな点は6回3失点でマウンドを降りればQSが付くのに、頑張って7回・8回まで投げて4失点目を取られるとQSではなくなる点です。そうはいっても今のNPBで先発投手を図る物差しとしては一番理にかなっている気がします。

それでは昨シーズンのQS15以上のセリーグの投手を見てみましょう。
20QS 戸郷
18QS 西勇・青柳
17QS 森下
16QS 今永・小笠原・菅野
15QS 小川・大野
この基準でも優勝チームのヤクルトからは15QSぎりぎりクリアの1投手のみです。
ここからもヤクルトの先発投手難が見て取れます。

今年の投手の成績を見るに、このQSを一つの物差しにしてみるとまた違ったプロ野球が見えてくるのではないでしょうか。

上記数字は各選手個人のWikipedia及びYahooスポーツの記事等を参考にさせていただいています

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