世渡り上手

おはようございます。ヤクルトけんちゃんです。

世渡り上手とは、世間をうまく渡れる術(処世術)を身に着けている人のことです。
主にビジネスマンの世界で使われますが、仕事の実力はそれほどではなくとも、うまく立ち回って実力者の上司やメインの派閥に入り込んでうまく立ち回るなんてよくある話です。
芸能界にもその傾向はあって芸能界のボスに取り入ってその傘下で番組に出演したりドラマに出させてもらう、なんてやり方です。これも一つの生き方ですから、うまく立ち回れない人からはやっかまれますが、勝てば官軍です。

さて実力のみ？で勝負のはずのプロ野球にそんなことがあるのでしょうか。
実力以外の部分で監督に気に入られて一軍に残って出場するなんてことはあるかもしれませんが、そもそも一軍に入れるか否かや（2月のキャンプもそうですが）、二軍に落ちた後一軍に呼び戻してもらえるか否かは監督や二軍監督、コーチなどに良い意味で気に入られなくてはならないはずです。実力がはっきりと違えば別ですが、拮抗した二人のうち一軍に上げる枠が一つしかなかったら、監督やコーチは自分のお気に入りを一軍に引き上げるでしょう。
ということでプロ野球選手にも多少（本当に多少ですが）の世渡り上手が求められていることはありそうです。
しかしプロの実力世界ですから、そんなごますりみたいなことをしなくても、可愛げが無くても、本当の実力があれば一軍でばりばり出場できるのは間違いありません。（不祥事を起こさない限りは、です）

そういった中で近年のNPBで私が驚いた世渡り上手がいます。
元巨人の山口俊投手です。
山口投手は2005年ドラ1でDeNAに入団しましたが、山口選手が在籍した2006年から2016年はDeNAの暗黒時代ともいうべき時期で、16年こそラミレス監督に代わり山口投手の活躍もあり3位に躍進しましたが、それ以前は10年間で7度の最下位とそれ以外もBクラスというトホホな有様でした。
そんな中で09年から13年は山口投手はクローザーを務め、14年からは先発に戻りましたが、16年に突如覚醒19先発で5完投、3完封、11勝5敗、2.86という素晴らしい成績を上げ、これを手土産にFAで巨人に入団しました。
16年の山口選手の年俸は6千万円で本来FAで移籍すると前年の年俸を引き継がなければならないところ、巨人が裏から手を回した？か「特殊な事情による申請」なんてわけのわからん理由をコミッショナーが認め、実際には2.5億円の年俸を山口選手は受け取っていたようです。
そして17年は故障で4登板、21回の出場にとどまり、18年は30登板で9勝9敗、1S、1H、3.68。2018年巨人は3位ですからローテーション投手としてはまあまあの成績です。
そして2019年は26先発で15勝4敗（最多勝）、2.91と巨人の優勝に貢献、シーズンオフにポスティングでメジャーに移籍しました。
しかし山口選手の世渡り上手もここまででした。
米メジャーでは成績を残せず、1年で日本に帰国、アメリカにわたって成功しなかったNPB選手の一例になりました。
年俸を3千万に下げて巨人に復帰、巨人でも過去のような活躍は望めず、昨年は故障続きで、オフに戦力外通告を受け、その後どこからもオファーを得られず、ついに引退の決断をしたわけです。

前述したようにプロ野球選手に世渡り上手という言い方は当てはまりませんが、17年間の成績をならせば並みより上程度だった山口俊投手が節目の1年間に全力投球で素晴らしい成績を上げ、それをステップにFAやポスティングで「わらしべ長者」のように年俸をジャンプアップさせたのは別の意味での「世渡り上手」という尊称？に値するプレーヤーの一人です。

上記数字は各選手個人のWIKIPEDIA　及びTahooスポーツの成績等を参考にさせていただいています